一人前になるにはとにかく時間がかかる。
俺がよく行く銀座の「天一」という天ぷら屋じゃ、客前で天ぷらを揚げられるようになるまで20年といっていたが、ものをつくるっていうのは、なんだってそれくらいかかるのが当たり前なんだ。
その辛抱ができないようじゃ、どの世界でも一流なんかになれっこない。
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日本人っていうのは黙っていると、どういうわけか、周りと同じことをしようとするだろ。じつはこれは、農耕民族の特徴なんだ。
田植えや刈りいれっていうのは集団作業だから、一人だけ時期をずらすわけにはいかない。その習慣が身体に染みついているので、両親の家がクラウンを買ったら、じゃあうちもという発想になってしまう。
だけどこれからの仕事は、これじゃあ通用しない。
人が歩いたあとにはペンペン草も生えていないと思って、絶えず開拓し続けられる人間でなければ、もともと狩猟民族の欧米人にみんなやられちゃう。
だから、隣がクラウンなら俺は戦車だっていう人間になれ。
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大企業には何度も騙される。
ちょっと上手くいけば、嫉妬した仲間から足を引っ張られる。
プレスを始めたときも、それまでは金型屋がプレスに手を出すのは御法度だったから、「生意気だ」と仕事を干されそうになった。
ところが苦境に立っても、俺はサラリーマンじゃないから、どうしたらいいか教えてくれる先輩もいない。
そこであれこれ工夫して乗り切ってきた。
その経験があるから、何とかなるという気持ちになれるんだ。
ところが、失敗しないように生きてきた優等生は、そういう経験がないだろ。
だから風邪ひいたぐらいですぐ倒れちゃう。
こっちはバイキンだらけの中を生きてきてるんだ、免疫力がパンパじゃない。
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俺は若いころ遊びが好きで、また戦争で学校にちゃんと行けなかった。
履歴書を書いたって誰も雇ってくれない。
いつも絶体絶命。
それがよかった。
目の前の仕事しかないんだから、やる気がないなんて言っていられなかったんだ。
それに、学問を知らないという劣等感がある。
これがいまでも、大学や大学院で勉強した奴に負けるもんかという自負心のもとになっているんだ。
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俺も最初、「痛くない注射針」の話を聞いたときは、正直、「これは無理だ」と思った。
それで、専門の学者に相談したら、「物理的に不可能だ」というじゃないか。
ところが、逆にこれで俺のやる気に火がついた。
だってそうだろ。最高学府の学者が理屈でできないといっているものを、尋常高等小学校中退の俺がやっつけたら、こんなに痛快な話はない。
そう思って引き受けたんだけど、これが簡単じゃなかった。
何百回と試行錯誤を繰り返し、結局量産化に成功するまでに4年半かかったよ。
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俺はいつも3年先、5年先を見て仕事をしている。
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図面なんて引かないよ。
それで複雑な自動機械をこさえちゃうから、みんなびっくりするんだけど、これは常識に逆らうというより、俺にとってはこの方が自然なんだ。
だって、ものづくりっていうのはジャズと同じで、アドリブで演奏しながらいかにイマジネーションを膨らませていくかが、勝負じゃないのか。
それなのに図面を引いちゃったら、その図面に縛られて、そこから外に出られなくなる。

(岡野雅行)

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今日は3年先のための1日。

目標に向かって行動していきます。

今日は最良の一日、今は無二の好機。

最幸の笑顔で顔晴って行きまっしょい!

( ^∀^)ウヒォー!